『外国人歯医者さん』日本3年目。―言葉の壁を超えて

インタビューから

ムワンネスさんは現在、大学で歯科医の博士課程として研究に取り組んでいます。今年で日本に来て3年目を迎えました。ギリシャとシリアの両親をもち、ギリシャ・ドバイ・シリア・日本など様々な国で過ごした背景を持つ彼にインタビュー。


彼の専門の研究対象は―”歯茎”

―ムワンネスさんは普段、大学では何の研究をしているのですか?

Gum(歯茎・歯肉)だよ。Gumは歯を取り囲む組織で、それらの炎症や疾患を改善・予防するための薬剤を研究しているんだ。」

歯茎が専門のムワンネスさん。世の中にはいろいろなことを研究している人がいて驚きですね。大変な時期もあるそうですが、アルバイトや友達の時間も大事にしながら、うまく学業と両立しています。

ムワンネスさんがマウスを用いた研究で使用しているという注射器。針が極細なのが特徴。

ムワンネスさんは日本の大学で研究されていますが、博士課程となるとメインは英語でプレゼンテーションをしています。ですが、ムワンネスさんは英語は母国語ではないため、勉強して話せるようになったといいます。

(ちなみに今回のインタビューは日本語と英語をミックスしてのインタビューでした。)


彼の母国語はアラビア語。しかし英語を流ちょうに話す理由は?

彼は生まれはシリアという国で、母国語はアラビア語。シリア人の父とギリシャ人の母を持つハーフ。

英語が母国語ではないため、英語を勉強する必要がありました。

―英語はどのように勉強して、流ちょうに話せるようになったのですか?

「小さいころからドラマや映画をたくさん見ていたんだ。ただ楽しんで観ていたら、だんだん英語ができるようになった。

もともと母親が厳しく教育熱心で、幼少期は姉も僕も多くの時間を勉強に費やしていたんだ。

姉は僕より頭がよくて、いまは医者をしているんだ。だけど僕は、勉強している姉を横目にもっぱら英語のドラマばかり見てたんだ。

いまでは姉より僕は英語が上手に話せるよ。(笑)」

ムワンネスさんは英語を習得したい、勉強しないといけない、というプレッシャーではなく、純粋に英語に触れていたら、英語が話せるようになりました。

英語の勉強で大切なことは、まず楽しむこと、そして、マネすることだといいます。

彼のおすすめの英語のドラマ・映画は「How I met your mother」「Gossip girl」「Friends」だそう。どれもネットフリックスで視聴可能なので、英語学習をしている方は参考にしてくださいね!

歯医者さん幼稚園の先生…?

現在は研究に取り組む傍ら、アルバイトとしてインターナショナルの保育園で幼稚園の先生としてをしています。

―今の幼稚園の先生というアルバイトの魅力は何ですか。

「ほかのバイトと違って、幼稚園は子どもたちと過ごすこと自体が純粋に楽しくてたまらないんだ。

最近、僕が一番仲の良かった5歳の男の子が引っ越して、とっても悲しかった。彼はとてもoutgoing(陽気)で性格が似ていた。ぼくらはナイスバディだったんだ。」

ムワンネスさんは、子どもたちのために英語の歌を覚えたり、『Hands up!(手を挙げて!)』と掛け声をしながらエクササイズを教えたりしています。

「歯医者さん」×「幼稚園の先生」。

一見ミスマッチな二つの職業の掛け合わせは、なんとも興味深いです。


彼の週末の過ごし方 ネスさんからみた日本の魅力

自宅では猫を2匹飼っており、休日は猫たちと遊んだり、ジムでトレーニングしたり、仲間たちとハイキングを楽しんだりしています。日本は自然豊かなこともあり、外出して体を動かすことはとても気持ちがいいと話します。

「日本はとってもきれいだよ!海も山もある!それでいてすべてがベンリだから、この国が好きなんだ。」

日本で住んでいる私たちには当たり前な道路ひとつをとっても、海外に住んでいた人々にとっては驚くほどきれい。

ムワンネスさんの愛猫。

日本でハイキングを楽しむムワンネスさん。


外国人が完全に日本人になることって難しい

「僕ら外国人が日本人になるのは難しい。日本に住んでいて日本人に囲まれているはずけど、僕の友達の多くは外国人なんだ。」

英語が共用語であるアメリカやオーストラリアは多民族国家であるため、アジア系の顔の人もいれば、ヨーロッパ系の人も住んでいて、顔の特徴はバラバラ。個人主義が強いこともあり、他人と足並みをそろえる必要もないのです。

そのため、新しく外国人が移り住んだ時、その国の人と調和して過ごすことが簡単にできてしまうのです。

一方日本は、肌の色や顔の特徴がみな似ていて、難しい日本語でコミュニケーションをとり、集団主義(空気を読むなど)が強いですね。

その文化は海外との差が大きく、外国人が理解したり、実践することが困難で、完全に日本人と調和して暮らすことが難しい理由となっているようです。

言葉の壁を越えて

皆さんが思っている以上に多くの海外の方が日本で暮らしているということ。

もしかしたら、中には生きづらさを抱えている人がいるかもしれないということ。

他の文化を持つ外国人と話すことは、日本の良さに気づきながら、海外の文化の面白さも知れて、新鮮で刺激的なことをムワンネスさんとの対話で感じました。

お互いが言葉の壁を越え、少しずつ歩み寄るだけで国籍に関わらず様々な人と文化に出会うことができるのかもしれません。

私も歩み寄るファーストステップとして、いろんな国の言語の挨拶ができるようになりたいです!


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